第147回国会 衆議院予算委員会締めくくり質疑議事録     2000年2月29日(火)

○横路委員 二〇〇〇年度予算案の審議も、衆議院、この締めくくり総括質問でということに、最後のところまで来ましたが、昨年の予算委員会、総理は十日ほど出席をされておられまして、総括で六日間、集中で三日、締めくくり総括一日ということで、七十時間十五分出ておられます。今国会は、きょうを入れまして三日で、十九時間ということなわけですね。
 そこで総理にお尋ねしたいのは、国民にとって今一番大事なこの予算の審議、特に今、日本の社会はかつてなく不安が広がっております。そしてまた多くの国民が不満を持っている。四十代、五十代が一番大きな不安と不満を持っているという日本の状況になっております。
 総理は、景気回復ということで何でもありということを旗印にやってこられたわけですが、こういう厳しい状況の中で、来年度予算もまた大変な借金をするわけであります。どんどんふえていっている。やはり今一番総理大臣として必要なことは、こういう日本の窮状といいますか、現状というものをしっかり国民に説明するということ、そして国民の理解を求める。今現状がどうなっていて、自分たちはどういう方向に向かって今政策を進めているのか、その方向性と内容を明らかにするということがやはりリーダーにとって一番必要なことだと思いますが、総理大臣、そこをいかがお考えですか。
○小渕内閣総理大臣 政治家たる者、特に内閣総理大臣としては、国民に向けて政府の考え方を明らかにするということは、これは至極当然なことでありまして、あらゆる機会を通じてその努力をいたしていきたいと思っておりますが、アカウンタビリティーという点において必ずしも、不十分であるかもしれませんけれども、精いっぱい努力をさせていただいておると思っております。
○横路委員 この予算委員会という場は、実は今日本の社会がどんな問題を抱えているのか、財政上、税制上どういう課題があるのか、どんな社会問題があるのか、やはり議論を聞いていますと、私どもでも、ああ、こういう点があるのかということを勉強させられるわけですね。非常にいい機会を総理は逃されたというように思うんです。
 自自公政権ができて、ともかく数は物すごい大きな力を持っているわけでありますから、そんなの説明しなくても数で押し切りゃいいんだというようにお考えならば、これは非常に大きな間違いだと言わなくてはなりません。私は、そのことを申し上げて、質問に入っていきたいと思います。
 まず、越智再生委員長の発言についてでございます。
 総理は、越智委員長からは直接、この発言について、その内容等については聞かれたんですか。
○小渕内閣総理大臣 発言と申されますと、同僚国会議員の後援会における発言のことでございましょうか。その点について、直接私はお聞きをいたしておりませんけれども、この予算委員会等におきましても、御本人から、質疑を通じて弁明をされておられる、その状況につきましては、私も院内のテレビを通じましてお聞きをいたしておるところでございます。
○横路委員 その越智委員長の発言は、どこが問題だというように総理、お考えですか。あるいは問題であると思うのか思わないのか。この発言を聞いてどのように思われましたですか。
○小渕内閣総理大臣 たしか越智前委員長は、そのときの御発言が適切でなかったということを御答弁しておったように承知をいたしております。
○横路委員 いやいや、任命された総理大臣として、この越智再生委員長の今回の金融関係者を集めての発言というのは、どう受けとめられたんですか。
○小渕内閣総理大臣 御本人が、不適切だ、こう言っておられるので、そう理解をする、こういうことでございます。
○横路委員 では、あの越智委員長の発言のどこが総理大臣としては不適切だと思われたんですか。それは、越智さんが不適切だと言っているから不適切だと思ったんですか。そうじゃなくて、あの発言そのものを総理としてどう受けとめられたのかと、任命権者なわけですから。そこを今聞いておる。
○小渕内閣総理大臣 お仕事の内容についてでありませんで、やはりマスコミその他、また本院でもいろいろと御質疑があったと思いますけれども、その当日の講演の中身において、いわば手心を加えるというような誤解を与えかねない発言があったということを、御本人が述べられておるということでありますので、そのことはそのこととして、確かに、そういうことがあったとすれば、好ましいことではないという認識をいたしたということであります。
○横路委員 問題は、信用組合などを集めまして、これから検査に入りますよということをまず伝えて、そして、検査が厳し過ぎると思ったら言ってらっしゃい、そうしたら十分考慮しますよと。言ってくるときには、そばにいた地元の代議士さんを通じて言ってらっしゃい、十分考慮しますよ、こういう発言なんですね。
 この発言は、例えばもっとわかりやすく言いますと、大蔵大臣が企業を集めて、これから国税の方が検査に入りますよ、検査、厳しいかもしれませんよ、厳しかったら言ってらっしゃい、考慮しますよと言っているのと同じことなんですね。そこが問題じゃないんですか。そこがそもそも、金融再生委員会の果たすべき役割からいって、おいおい議論していきますけれども、そこが一番問題じゃないんですか、これは。
 どうしてやめたんです、越智さんは。総理が何か責任を、越智さんとの間でもって話は全然しなかったんですか。どういう経過なんですか。
○小渕内閣総理大臣 御本人が、諸般の情勢を考えたのでしょう、辞表を提出されました。その過程におきましては、越智前委員長と官房長官が、その間の真意を十分聴取するということでお目にかかっておりまして、それが提出をされまして、そして、最終的に私のところにこれが届けられましたので、私としては、御本人のそうした意思を尊重しようということでこれを受理させていただいた、こういうことであります。
○横路委員 そうすると、任命権者である総理大臣として、この発言は極めて不適当であるという判断をされて、そして、越智さんに責任とってもらいたいということを言った結果ではないんですね、今度の辞表というのは。
○小渕内閣総理大臣 本人がそうした申し入れをいたしましたので、私としてはそれを受理した、こういうことでございます。
○横路委員 総理大臣としては、この越智委員長の発言というのは、責任をとるべき内容だと思いますか。そうは思わないんですか。総理大臣として、任命権者として、どうこの発言を受けとめているんですか。
○小渕内閣総理大臣 発言をと言われますけれども、たしかここでもいろいろの御質疑があったと思いますけれども、そのことについて、越智前委員長としては、みずからの考え方で、いろいろの諸点があるのかと思いますけれども、そのことの考えで、少なくとも手心を加えるとか、後方で物を処置するとか、そういうことは言っておらないと、たしか御本人も弁明をしておる、こういうことでございまして、その後、国会の状況とかいろいろの御判断をしまして、御本人としては辞表の提出に至ったのだ、こういうふうに考えております。
○横路委員 この間のやりとりではっきりしたことは、要するに総理大臣として、この越智発言というのは金融再生委員会の委員長としてふさわしいものではないという判断は別にされていないわけですね。
○小渕内閣総理大臣 越智委員長が、私的な会合であるといえども、そこで御発言をされたことがいろいろ国民の皆さんにも誤解を与えかねない発言であったということは、これは確かだろうと思います。
 しかし、そのことで本人が基本的にこの委員長としての職責を曲げるようなことはあったものではないということは、ここでもきちんと御本人から申し上げておるとおりであって、私は、任命権者としてはそのことは信頼をしておる、こういうことであります。
○横路委員 いや、だんだんに明らかになってきましたが、何より公正さが求められる銀行検査まで、自民党議員の口ききがあれば都合のいいようにねじ曲げますよというこの姿勢、これが今、国民の信頼を政治が失っている一番大きなところじゃないですか。
 私は、いろいろな報道の中に、例えば森幹事長も、そんな変なこと言っているわけじゃない、面倒を見る精神は大切だなんという発言を新聞でされておられました。どうも自民党の皆さんの中に、まあこれは当然じゃないか、こういう空気があるのじゃないですか、総理。そこが一番政治不信の原因になっていて、そこを今変えなければいけないときにこういう発言が出てくる。やはり七〇%以上の大きな数を持っているということが言わせているのでしょうか。
○小渕内閣総理大臣 数の問題は直接に関係ないと私は思いますが、御指摘のように、大蔵省が財金ともに責任を負っておったことにかんがみて、その反省に立って来年はいよいよ金融庁も発足するということに相なるわけでありまして、そうした意味で、金融監督庁が種々の調査を厳密にやっておられることについては、これは高く評価されておることだろうと思っております。
 そのことにつきまして、この委員長は委員長としての権限を行使することにおいて、ここでも御議論あったようでありますけれども、政府としての見解が明らかになっておりますように、個人的にそういうことはできる立場ではないわけではあります。しかし、発言のそれぞれを取り上げますと、いかにもそうしたことができ得るのではないかという誤解をもし与えたとすれば、これは私は本旨にもとることだろうと思っておりますし、また、越智委員長も決してそのようなことを企図しておるとは私は思っておりませんが、しかし、発言の内容がいかにしてもそうした誤解を与えかねないということであるとすれば、これはある意味で大きな責任も、やはり一番金融監督という厳正、公正にやらなければならないことにまで及ぶというような印象を与えたとすれば、これは大変反省に値するものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
○横路委員 権限があるとかないとかという問題じゃないんですね。
 総理も御承知のように、我が国は、ともかくこの金融危機から脱却しようということで、例えば預金の全額保護でありますとか公的資金の注入でありますとか、あるいは破綻した銀行の国有化といったようなスキームをつくって、そこに七十兆円というお金を準備しているわけですね。ともかく早急に、早くそういう状態から脱却をして金融システムを安定化させなくてはならないということで、金融再生委員会にも大変大きな権限を与えて、今日まで、担当した職員の人たちは努力してやってきたわけですよ。
 この再生委員会ができたのは何かというと、やはり一つは大蔵の不祥事があったからですね。大蔵が金融機関との間にいろいろな癒着が生まれてきたというので国民の不信が高まって、分離していこうじゃないかということで生まれたんですね。だから、何より求められているのは何かというと、公正なルールと、そして厳密な、透明化された、だれにでも見える検査ということが一番大事なんですね。
 その一番大事な中核のところを越智発言は踏みにじったんですよ。これほど信頼を喪失したことはないですよ。国際社会にだってどういうように説明するんですか。日本の金融検査というのはこういうものだ、こんなものなのかというようにしか評価されませんよ、総理。これは総理大臣です。総理、お答えください。
○小渕内閣総理大臣 御指摘されておることを私は否定するつもりはありません。やはり公正なルールに基づいて透明ある行政をきちんとしていかなきゃならぬということは、これは全く横路委員と同じ気持ちであります。
 また、そのために営々として金融監督庁も努力をしつつあるわけでありまして、そういったことについて委員長として、私は行政の責任者としては適切に対応してきたと思いますが、そのことと、その御本人が会合において御発言をされたことは、今お話にありましたように、国際的にもまた国内的にも、しっかりこれを進めておることについて非常に誤解を与えかねなかったということにおいては、このことは事実でありまして、そのことは大いに反省していただかなければならないというのが私の考えでございます。
○横路委員 この信頼回復のために、総理、どうしたらいいんですか、海外に対してだって。ちゃんとやらなければいけないと思いますよ。これは総理の責任です。
○小渕内閣総理大臣 そういう発言も含めて、御本人が辞表を提出され、そして受理したわけでございますが、したがって、谷垣新委員長を直ちに任命することによって、本人の努力もそうでありますし、また政府としても、そうした誤解が国際的にも国内的にも払拭のできるように最大限努力をしていくということに尽きると思っております。
○横路委員 こういう発言がありますと、越智大臣のもとでのさまざまなとられてきた措置、長銀、日債銀の処理の問題、あるいは、さまざまな金融機関に対する検査というのは一体どんな検査だったのかという、やはり国民の不信は高まるばかりなんですね。
 私は、この際、金融問題について総括をしっかりすべきではないかというように思います。
 つまり、今までどんどん税金を投入して金融機関を救済してきたわけですね。金融システムを守るということを大義名分にして、余り責任は言わないで、ともかくやろうということでやってきた。その結果、やはりいろいろな問題と不信感が出てきているわけですね。
 金融問題といいますと、金融不祥事の始まりは富士銀行の不正融資事件でございます。これも明るみに出て、二千億以上の不良債権があった。この経過、経緯というのは一体どうなっているのか。あるいは、この間の幸福銀行、東京相和銀行、なみはや銀行、こういう倒産の経過と大蔵省などの関与あるいは指導というものがあったわけで、そういう行政指導の是非というのはどうなんだろうか。長銀、日債銀の破綻ということで、例えば日債銀についていろいろな議論を今日までしてきました。しかし、これは責任をとった人はだれもいないわけです。そういう経過というのは行政サイドになかったんだろうか。そして、長銀、日債銀の今日の処理についてもトータルで七兆円以上なぜかかったんだろうか。
 こういった金融問題について、どうも私どもは、最後まで詰めてしっかり総括をして、何が悪かったのか、何が間違っていたのかということをはっきりさせながら今日まで来ていない。何となく大変だからというので、わっとお金を投入してやってきたということが、ここに来て、例えばいろいろな問題になってあらわれてきているんじゃないか、このように思います。
 総理に、この金融問題について、こうやってやってきたというのは、これは経過をたどると事実なわけでございまして、その辺の総括をやはりこの際一度はっきりすべきではないかというように思いますけれども、いかがでございますか。
○谷垣国務大臣 先ほどから横路委員が言っておられますように、今は金融秩序が非常に大事なときでございますから、私も、今おっしゃったような透明性、それから公正なルールのもとで透明に行政を展開していくということを、折に触れて、あらゆるときに強調をして、目的を達成していきたいと思っております。
 そして、今横路委員は、今までの処理の経緯に疑念が生じているというふうにおっしゃいました。過去の経緯を振り返ってみますと、そのときそのときのセーフティーネットのでき上がりぐあい、いろいろなことがございまして、そのときそのときに当事者は一生懸命努力をしてきたのではないかと思っております。
 そして、一昨年の金融国会で、私が今おります金融再生委員会というものもつくっていただきました。これは、国会の中で、与野党で真剣に議論をしていただきまして、そして、こういう合議制の中でオープンに議論をして透明にやっていこう、独任制の官庁よりもこういう合議体の官庁がよいのではないか、こういうことでつくっていただいたわけであります。
 その間、大変な御努力で処理が進んできたわけでございますけれども、今は大事なときでございますから、私どもも、できるだけ結果も出しながら、堂々と議論をしながら進めていきたい、このように思っております。
○横路委員 ともかく、我々、日本の行政、政治の中で、やはり過去のそういう総括、区切りをつけるということが、どうもしっかりしない、あいまいに済ませてしまうということは、やはりあるように思います。
 特にバブル崩壊以後、金融システムをしっかりさせるということが最優先課題だったわけですけれども、それがなかなかこれずに、九八年にようやく一定の方向性を出したということでありまして、先ほど私が申し上げました幾つかの金融機関、これについてももう大変な税金を投入しているわけでありますから、一度しっかりそういう総括をすべきだと私は思いますが、総理大臣はいかがですか。
○小渕内閣総理大臣 一遍にと言われましても、総括といいますか、常にこの金融二法に基づいて、あのときの日本の金融システムリスク、いかに国際的信認をかち得ていくかというためのことを、先ほど委員長からも御答弁いたしましたが、本当に、与野党ともに力を合わせてそういう法律をつくったわけでございますので、しからば、その法律に基づいてどのような対応を金融監督庁並びに金融再生委員会としていたしておるかということについては、もう申すまでもないことですが、常々レビューし、総括していくということは、これは当然のことだろうと思っております。
 その手法、そのやり方等については、委員長が十分心得て対応していただけるものと信頼をいたしておるところでございます。
○横路委員 次に、財政問題について御質問をいたしたいと思いますが、総理はたびたび、二兎を追う者は一兎をも得ずということを言われて、ともかく景気回復がもう最重点だということで、借金も随分ふやしながら今日までやってきたわけです。
 その結果どうなったのかというと、残念ながら、まだこの国の行き先というのがはっきりしてこない。不安はむしろ拡大をしています。不満も強くなってきているということなんですね。どうも、何でもありという旗のもとで、行き先を知らない漂流船に国民は乗せられているというような状況に今日あるんだと思うのですね。それは何かというと、やはり状況についての説明が足りないからだと思います。
 私は、どうも一兎をも得ないのではないかということ、これがこれからの私の質問のテーマでございまして、二兎をしっかり追うことが大事だと。もう欧米では、財政健全化が経済を好転させるという考え方がある意味では定着しているわけです。日本の財政赤字がふえることにも非常に心配がされ、先日も、G7のときにもいろいろな発言がヨーロッパの諸国からあったというように伺っております。
 そこでまず、総理に基本のところでお尋ねしたいのですが、二兎を追うという、二兎というのは何と何というようにお考えなんですか。
○小渕内閣総理大臣 一つは、言うまでもありませんが、現下日本経済を再生し、そして景気を回復し、でき得べくんば成長率も一%あるいは二%、将来においては、こう考えておることが一つであります。
 一方のウサギといいますか、それは、一兎は、言うまでもありませんが、財政再建を実現していくということでございまして、財政再建を実現していこうとすれば、どうしても予算の編成上、税収でこれを賄うことができないとすれば、当然のことながら国債を発行し、これは財政再建にたごうことになると思いますが。
 このいずれも同じ時期に実行しようということは極めて不可能に近いことでございまして、さすればゆえに財政構造改革法も凍結をさせていただき、その議論はたしかこの数年、この財革法を成立させる時点からも野党の皆さんからも強い御指摘があったことでございまして、簡単に申し上げれば、言うまでもなく、財政再建と経済再生、景気回復、この二兎を追うことが極めて困難であるということを申し上げておるところでございます。
○横路委員 財政再建のためには、財政構造改革が必要なわけですよね。
○小渕内閣総理大臣 この前もたしか委員と議論したと思いますけれども、財政構造改革というものは、これは財政再建をいたしていく場合に必要なことだろうというふうに思っております。
○横路委員 いや、既に本会議での答弁でも、二兎というのは、一つは景気回復、一つは財政構造改革なんだと御答弁されているんです。
 ただ、先ほどのように、何か収支バランスをとることだとかいうように話がなりますと、少しぶれていますので、基本のところはやはり、財政の構造改革をしっかり行って財政再建をするということなんですね、総理が言っているその二つのうちの一つは。それをちょっと確認しておきます。よろしいですね。
○宮澤国務大臣 委員会の御審議で申し上げてまいりましたんですが、財政構造改革がなければもちろん今の財政の状況は直りませんし、実はそれは財政の構造改革だけでなくて、もちろん税制も、中央、地方の関係も、社会保障についての負担と給付の関係とか、二十一世紀初頭の日本の経済社会の大半の問題を巻き込むような改革がどうしても前提になりませんと、財政だけが格好よくなるというわけにはいかないのではないかということを私見としてこの委員会では何度か申し上げてまいりましたが、私はそんな感じがいたしております。
○横路委員 私も、財政というのは歳入歳出ですから、結局は何かというと、税制改革が必要でありますし、行政改革、それからやはり公共事業と社会保障の改革をどうするかということが、財政再建のためにどうしても議論をして、新しい方向を見出さなければいけない課題なんですね。
 総理、その認識はあるんでしょう。いや、今大蔵大臣が答えられた。大蔵大臣はここでずっと出ておられて、一生懸命御答弁されておりましたから、十分聞いて、大蔵大臣のお考えはわかるんですが、総理大臣が、ずっと今まで、二兎を追う者は一兎をも得ずと、何だかわかったようなわからぬような話をしていますが、もう一つは、今言ったように、やはり歳入歳出全般についての基本的な改革課題、それをもう一つの一兎だというように理解してよろしいんですね、総理。
○小渕内閣総理大臣 財政構造改革ということについての概念の規定について、今委員から例を挙げてお話をされました。
 行革もあるし、また税制改正もあるし、社会保障の問題等もあるという意味では、財政構造というものを常に考慮しなければならぬということは、そのことは認めておるわけでございますが、同時に、財政改革とおっしゃられるのは、ごく簡単に言えば、現下、地方、国が持てるこの大きな財政赤字というものをいかに解消するかということでございまして、そういうことを目標にして、今具体的な政策をそれぞれ打ち出していくということは、心理的にも非常に大きなもので、一方で財政が支出を抑えていくということは、一方では、今公共事業をいたしまして下支えをしておるこの景気回復に大きなインパクトを与えかねない、マイナスインパクトを与えかねないという意味で、二兎を追うことは困難であると申し上げておるわけでございます。
 今財政構造の概念を規定された幾つかのテーマについて、これを常々問題として考慮するということは、当然、政治の立場でいえば、このことを無視して、いたずらにただ国債を発行していけばいいというものでないことは言うまでもないものだと考えております。
○横路委員 まさにこれからそこをちょっと議論したいと思うんですが、その前に、まず景気を本格的な回復軌道に乗せることということで、今、経済成長率一%から二%ぐらいというお話をされました。
 総理は、昨年の施政方針演説で、この九九年度というのは景気回復元年にするんだということを明らかにされておられます。そうすると、総理の景気が回復軌道に乗るというのは、成長率が一、二%というようなことを想定されているわけですね。
○小渕内閣総理大臣 象徴的には、経済成長率というものが一番わかりやすい指標であるというふうに私は考えております。
○横路委員 総理は、施政方針演説の中で、アメリカのケースを引用されまして、要するに、アメリカで本格的な景気回復があって財政というのは黒字に変わったのだ、こういうことを述べられておりますが、間違いございませんですね。
○小渕内閣総理大臣 そのように述べさせていただきました。
○横路委員 日本とアメリカと今比較してみますと、アメリカで例えば国債依存度のピークというのは大体二〇%台なんですね。来年度の日本の予算はほぼその倍、三八%を超えています。それから、GDPに対する国と地方の債務残高も、アメリカの場合ピークで六三・四%、日本はもうほぼその倍ということになっていますよね。ですから、非常に日本とアメリカはフローやストックの面で違うわけです。そういう赤字を抱えている日本の財政を再建するのに、景気回復ということだけではこれはもう不可能だというのが、先日示された中期財政試算の言わんとする結論だというように思うんですね。
 総理、これは景気が回復して、一%だろうと二%だろうと三%だろうといいわけですが、先日の大蔵大臣の御答弁ですと、三%成長でも自然増収というのは、せいぜい一兆四、五千億ぐらいかなというお話をされました。そうすると、今八十五兆の歳出に対して三十兆を超える国債を発行している予算ですよ。毎年一兆四、五千億ずつふえていったって、その分ますます、どんどんどんどんふえていくばかりなんですね。
 つまり、景気が拡大したからといって、日本の財政というのはむしろ悪化するばかりで、その悪化の度合いは減っていくかもしれませんが、解決することにはならないということ、これは先ほど自民党からの質問にもそういう意見がありました。
 これはもう大体みんなが共通に認識していることだと思うんですが、どうも総理一人、この施政方針演説でアメリカをわざわざ引用しているところを見ていると、そういうのと違った認識をされているんではないかというように思いますが、景気が回復、今総理がおっしゃられた象徴的にという言葉を、大蔵大臣のアドバイスでつけられましたけれども、いずれにしても、成長率一、二%になっても、問題は何も、基本のところで財政問題でいうと解決しないというのははっきりしていると思うんですけれども、いかがですか。
 いやいや、これは総理。大蔵大臣の意見はわかっておりますから。
○宮澤国務大臣 中期展望のお話がございましたので申し上げますが、確かにあれは一つのプロジェクションではありますけれども、金利が高くなるとか社会保障の水準が高くなるであろうとかいろいろ考えますと、景気が、成長率が多少上がりましても、なかなか公債の発行というのはやめられない、そういうことを確かに意味しております。
 したがいまして、多少成長率が上がりましても、先ほど横路委員も言われました、私も申し上げました、諸制度の改革が行われませんと財政だけがよくなるということはなかなか難しい、そういうふうに考えております。
○横路委員 大蔵大臣の言うとおりなんですよ。総理、そうなんですよ。それは同意されますね。
○小渕内閣総理大臣 試算によればそのように大変厳しい状況である、こういうふうに認識をいたしております。
○横路委員 アメリカの連邦財政収支という資料をお渡ししてありますが、ちょっと見ていただきたいんです。一九八九年と一九九八年の数字を見ていただきたいんですが、歳入で二%増ですね。大体、アメリカのGDP一%を十兆円として、二十兆円の歳入をふやしているわけです。そして、歳出の方を見ていただきたいんですが、歳出の方は二%近くカットしているわけです。つまり、歳入をGDP比で二%ふやし、歳出の方は落とすということをやったわけです。
 つまり、レーガン政権というのは、基本的に減税と、そして軍事予算をふやしましたから、歳出増になったんですね。むしろ赤字が激しくなったわけで、その後、ブッシュ政権、クリントンと、むしろ増税政策をとって歳出カットをするという政策をとってきたわけです。それが、この八九年と九八年の比較を見るとはっきり出ているんですね。
 今大蔵大臣からもお話ありましたように、景気回復だけではやはり問題解決しない、構造改革がどうしても必要だ。だから、それはみんなの共通認識ですよ、ある意味では。それをちゃんと議論するということは必要じゃないですか。
 このアメリカのを見てどう思いますか。アメリカというのは、歳出増を図り、歳入増を図りながらやってきたわけです。もちろん、そのベースには、情報革命をベースにして情報産業が進んできたということがあるわけですけれども、形はこういう形なんですね。総理、いかがですか、これは。
○堺屋国務大臣 アメリカの財政についてちょっと説明させていただきますと、アメリカの財政は今プラスになっておりますので、最高の赤字と現在と比べますと、GDPで六・一%ぐらい改善しております。そのうちで歳出カットで改善したものが五一%、約半分でございます。それから歳入増加で改善したのが四九%、約半分でございます。
 そして、その中で、どういうような要因で歳入がふえたかと申しますと、景気がよくなったというのが約三割、それから、増税したというのが約一九%であります。それから歳出のカットは、ほとんどが構造要因、つまり歳出カットでございますが、軍事費を削減したのが約三割、それから社会保障等が一割強というような形でなっております。したがって、委員御指摘のように、財政改善の約二割の増税がありました。しかし、それは非常に短期でございまして、今減税が既に議論されている段階でございまして、そんなに長期のものではございませんし、全体としても二割でございます。
 日本の場合も、景気が改善しただけではなかなかよくならない。大蔵省の試算にございますように、長期金利と名目成長率の関係が、本当に大蔵省が機械的に考えているとおりであるかどうか。七〇年代には名目成長率の方が高い時代もございました。
 また、不況から脱出するとき、これはアメリカの例を見ていただいてもよくわかるところでありますが、大蔵省の方では、長期的な数字をとりまして、ずっと租税弾性値が一・一。一%経済が成長すると税収が一・一%ふえるという、これは長期的にはそんなものでございますが、アメリカも、脱出のときにはやはり一・五とか一・四とかいう数字になっております。日本も、景気がよくなるときには、法人税等今非常に下がっておりますから、これがはね上がるときもございます。したがって、大蔵省の出しております中期展望というのはあくまでも機械的な計算の結果でございまして、それがそのとおり確定論的になるとは限りません。
 アメリカでも増税はなかったわけではありません。ありましたけれども、それほど大きくなかった。歳出カットも非常にたくさんやりました。これがまさに委員のおっしゃる財政構造改革だと思いますが、あらゆる手を使って財政は経済が立ち直った後に改善していかねばならないこと、御指摘のとおりだと思います。
○横路委員 いやいや、最後、御指摘といったって、そんなことは私は言っていませんよ。経済が回復してからやるべきだという話ではありませんよ。両方やるべきだという話をしているんですから、そこを間違えないでいただきたいというように思います。
 その両方をやったんです、アメリカも。結局、最初は大幅減税と軍事予算をふやした。日本でも、大幅減税と公共事業予算をふやしたということをやったわけです。レーガン大統領と同じことをやられたわけです、小渕さんも。しかしその結果、赤字がふえていって、どうしようもなくなったので、どうするかと。ベースとしては規制の緩和という大きな流れの中で、情報関連の産業がぐっと立ち上がっていくということももちろんありました。
 しかし同時に、もう一つやったことは何かというと、歳入をふやすことと歳出をカットすることだったんですね。だからそこを、今小渕さんの言うように、二兎を追う者は一兎をも得ずといって目をつぶって、これでどんどん先にいつまで行くんですか。先に行けば行くほどコストは高くなるんですよ、コストは。
 だから、最近は、国民の中に三つの不安と言われている。雇用不安と老後の不安に、もう一つは増税の不安。これからどうなるかわからない、この不安が貯蓄をますますふやしていっているんですね。
 総理、どうですか。一体、この一、二%というのは、大体、いつになったら財政構造改革の議論をするんですか、総理。これは総理に聞きます。総理。
○小渕内閣総理大臣 財政構造改革は、先ほども委員の御指摘もあり、こうした概念で考えろということ、すなわち、行革の問題とかそういうことは常々やっていかなきゃならぬと思っておりますし、そのことは、行政改革によりましていろいろ省庁再編を含めまして努力はいたしていくことは、これは至極当然のこととしてやっておるわけでありまして、これを二者択一と申し上げておるわけじゃありません。
 先ほど申し上げましたように、財政赤字というものを解消するための財政改革、法律をもってしてもこれを行うことについて、そのことを、今、再びこの法律を適用するということではあり得ないということを申し上げておるということです。
○横路委員 先ほど象徴的には一、二%というお話がありましたが、ことしの施政方針演説で、「我が国経済が低迷を脱し、名実ともに国力の回復が図られ、それにより財政、税制上の諸課題について将来世代のことも展望した議論に取り組む環境を整え、その上で財政構造改革という大きな課題に立ち向かう」という、これはどういうことですか。これは去年と全く違うんですね。去年は、景気が回復したらちゃんとやりますよという、単純明快な施政方針演説だった。
 今回は、経済が低迷を脱し、一、二%になっても、国力の回復が名実ともに図られというのは、これは総理大臣、どういう意味でこの言葉を使われたんですか。どういう意味なんですか。
○島村委員長 宮澤大蔵大臣。
○横路委員 いや、委員長、これは総理に。総理の施政方針演説だ。
○島村委員長 宮澤大蔵大臣。
○宮澤国務大臣 昨年は、景気……(発言する者あり)昨年の国会の主たる御議論は、不況からの脱却でありました。どうやって不況から脱却するかということが主な御議論でございましたから、総理の財政についてのお話もああなっておりますが、ことしは進みまして、どうやってこの財政構造、財政を直すかというお尋ねが多うございましたから、したがいまして、総理としても、それだけ具体的に、今横路委員が言われましたような表現をされたわけでございます。
 つまり、政府としては、何とか財政の改革をしたいが、そのエネルギーは国民経済から生まれるしかほかはございませんので、経済がマイナス成長を続けておっては何を言っても絵にかいたもちでございますから、まずそのエネルギーを回復しなければならないということを言っておられるわけでございます。
○横路委員 総理、国力の回復が図られというのはどういうことですか。大きな借金を抱えている国は、国力が回復した国と言えるんですか。借金なんか、そんなに簡単になくなりはしないですよ、どんどんふえるばかりですから。国力の回復が図られというのはどういう意味ですか。それを財政構造改革の議論の前提にしたんですよ、これは。どういうことですか、国力の回復。
○小渕内閣総理大臣 国力というものをトータルとして考えれば、それは経済成長によってあらわされるGDP、こういうことになるんだろうと思います。
○横路委員 そうすると、ここの「我が国経済が低迷を脱し、名実ともに国力の回復が図られ、」云々というくだりは、要するに景気の回復だというように理解してよろしいわけですね。去年とそういう意味では変わりないと。
 去年の施政方針演説はどういう演説かといいますと、私は、財政構造改革という大変重い課題を背負っていると痛感しています、日本経済が回復軌道に乗った段階で、財政、税制上の諸課題について、中長期的な視点から幅広くしっかりした検討を行って、国民の皆さんにあるべき姿を示しますというのが去年の施政方針演説ですよ。
 ことしになっていろいろなものがくっついて、これだったら何年先のことかわかりやしないですよ。そうじゃなくて、これは去年と基本的には変わりない、こういうように理解してよろしいんですね。成長率が一、二%になった段階で、財政構造改革の議論をちゃんといたしますということでよろしいんですね、これは。
○小渕内閣総理大臣 大筋として昨年とことしに変わるものはありません。
 ただ、よりわかりやすくお話を申し上げようと思っていろいろの用語はつけ加えておると思いますが、要は、日本経済を本当にプラス成長に持っていって、GDPをしっかりとした数字にあらわせるようなことにしていくということがすべてでございまして、それに全力を挙げていくということです。
 将来の計画、こうおっしゃられるけれども、横路さんにしても、十年、二十年後のことを想定するということは無理だろうと思います。今いかにいかなる政策を講じて、少なくとも成長率をマイナスに置くなんということは、これが何年も続くわけじゃありませんので、何としてもプラス成長をするためにあらゆる手法を講じて、予算も、大変申しわけありませんが、財政も厳しい状況でありますが、財政出動もさせていただきながらこれを実現していこうという強い意思をお示し申し上げたというのがその演説の内容でございます。
○横路委員 わかりやすいどころかわかりづらくなっています。
 そこで、いずれにしても、先ほど、改革は必要だ、行政改革だとか税制改革というお話がございました。例えば税制改革について、では総理は、今どういう改革が必要だというようにお考えですか。
○小渕内閣総理大臣 税制改革につきましては、この内閣としては、既に御案内のように法人課税、所得課税を引き下げさせていただきましたが、このことは、財政の面からいいましたら、それぞれ経済が動いていますけれども、おおよそ年間五ないし六兆円の減税をすることは財政的には減収になるわけでございます。
 それを引き続いて行っておるということでございまして、こうした大きな税制改正を引き続いて実行していくということも、これまた景気を回復するための手法としてでありますが、同時にまた、やはり国際的な税率の彼我の間の大きな隔たりというものが、国際社会において資本の移動その他が行われるということで、こうした各国とほぼ横並びにいたしておるというようなことも、これまた税制改革として引き続いて行っておるところでございます。
○横路委員 総理、日本政府は小さい政府だと思われますか、大きい政府だと思われますか。
○小渕内閣総理大臣 横路委員から小さい政府、大きい政府の概念をよくお聞きしませんと、御答弁できかねると思うんですね。
 単純に小さいとか大きいとかということを説明することはなかなか困難でありますが、要は、常に財政が膨らみ、あるいは人件費が、公務員の数もふえていくというようなことになれば、大きい政府になっていく方向であるということは、一般論的にはそのとおりだろうと思っています。
○横路委員 俗に、日本政府は大きい政府だから小さい政府にすべきだという議論をみんながするわけですね。
 大きい政府という面は二つあると私は思っています。
 一つは、中央省庁の持っている許認可権ですね。これは今もう毎年毎年ふえていっています、総理。一万一千件を超えてますますふえていっているのですね、この許認可。それからもう一つは、やはり公共事業です。GDP比でいって、諸外国との比較で、先進国でこんなに高い国はない。この二つが、日本政府が大きい政府たるゆえんの二つのポイントですね。
 あと、今の租税負担や社会保障負担はどうなのかというと、ちょっとお手元の資料を見ていただきたいのですが、一つは「租税負担率の内訳の国際比較」というのと、「一般政府財政収支、債務および利払費の国際比較〔対GDP比〕」という、二枚入っています。
 租税負担率の内訳の国際比較は、そこにあるように、アメリカなどよりも低い負担。これは国民所得比ですね、低い。つまり、こういう面でいうと、日本政府は今先進国の中で一番小さい政府なんですね。
 一般政府財政収支のOECDの資料も見ますと、経常収入、これは税だとか社会保険なんかの負担、あるいは印紙そのほか全部入っているようですが、これも九八年見込みでいいますと、もうアメリカよりも小さい政府になっているわけですね。
 だから、大きい小さいということをよく議論しますけれども、大きい部分とちっちゃいところがあるわけですよ。だから、まずやはり、その大きいところを少し小さくしなきゃいけないというのが課題の一つですね。あと、小さいところをどうしていくのかということは、これからの財政構造改革の中でどう考えていくのかということであります。
 要するに、この間減税をして消費を喚起しよう、減税をして企業の活動を活発にしようということでやってきて、しかし、どうもその政策が今の日本の経済構造の中で的がしっかり合っていた政策では必ずしもなかったということだと思うのです。その結果、こういう状態になっているということなんですね、総理。
 だから、大きいところをまずとりあえずはできるだけ小さくしていくということが必要だと思います。租税負担などについてはこういう状況になっているわけですね。この点について総理、どのように受けとめられますか。
○宮澤国務大臣 今、租税負担は、横路委員のおっしゃるように統計上低くなっておりますけれども、それは、一つの大きな原因は、毎年国庫が収入不足を生じておるからでございます。つまり、毎年の国会に提出いたしました租税収入というものが歳入欠陥をずっと続けて生んでおりますので、それが結果として、けがの功名というのは変な言葉でございますが、租税負担がGDPベースでは小さくなっております。これは、もう少しちゃんと税が取れておりますと、大きくならなければいけない問題でございます。
 もう一つは、御存じのように、社会保障の給付のレベルが決まらないものでございますから、これは恐らく低く決まることはなかなか難しいだろうと思いますので、社会保障負担も大きくなっていくと考えなければなりませんので、ただいま合計の三五、六%というのは、一見いい数字でございますけれども、実際はそういう二つの理由に基づく部分が多いのではないかと思っております。
○横路委員 総理、どう受けとめますか。
 日本政府、大きい政府の、ほかに比べてはるかに大きいところと、それからこの経常収入をごらんください、アメリカやイギリスよりもずっと下がっている、そういう状況になっているわけですね。この結果についてどう受けとめますか。
 厚生大臣には聞いていない、どうぞ、総理大臣。
○小渕内閣総理大臣 各国の国際比較について、せっかく資料を読んで御提起されておりまして、その中では、今委員が御指摘されましたように、それぞれの部門においての各国比較で大きいものもあれば小さいものもあるということは、この図表の指し示すところであります。
 なお念のため、社会保障の関係の費用も、さっきの大きい政府ということの関連性からいえば非常にあるのじゃないかというふうに私は思いますけれども、これも一つの要素として考えていくべきものがあると思っております。
 それから、内容にわたってなんですけれども、個人所得課税とか消費税の負担率が非常に低いのが我が国の特色であるということを、このまま書いてありますが、これはこのとおりだと思っています。
○横路委員 それで、税制なんですが、やはり将来に向けて今から議論をしなければいけない点、たくさんあると思うんですよ。例えば総合課税にするために納税者番号制度という議論、従来からあるわけですね。こういうところは、何も景気が回復してそれから議論をするというんじゃなくて、今からやはりしっかり議論をしなければいけない課題なわけですよ。消費税だって、前からある逆進性という問題があります。では、逆進性をどう解消するのかというような問題も、それはちゃんと議論できるわけですよ、今。何も景気回復を待ってからやる必要のない問題があるんです。税制なんかそうじゃないですか。
 だから総理、その基本的なところを議論を始めましょうよ。いかがですか、これは。
○小渕内閣総理大臣 重要なテーマでございまして、この点については、恐らく与党といたしましても真剣に今それぞれの部会等で検討を始めておるわけでありますが、結論的に、しからば租税をどこに求めるかということについて、今そのことを明らかにするということは、財政再建の意味からも、申し上げることはなかなか困難だろうと思います。
 しかし、議論としては、いろいろ専門的な立場で御検討しておることはこれは事実でありまして、これから、そのことをもって常に勉強し検討し、いずれ将来の姿というのをいかに描いていくかということについては、責任ある政党としては当然なしておることだと思っております。
○横路委員 先日、大蔵大臣が海江田議員の質問に答えて、個人の所得税の課税最低限度を――非常に高い水準ですね、国際的に見ても。そこで、私も同じ意見なんですけれども、できるだけ国民は、企業もそうですが、広くやはり税は負担をして、そのかわり、所得の低い人のところには政策がちゃんとそこをバックアップする、支えるという仕組みをつくるべきだというように思っているんですね。それで、大蔵大臣は、所得税の課税最低限度をもう少しやはり下げた方がいいと個人的には思うという御発言をなさいました。
 今総理も、これを見て、個人の所得税と消費税という二つにちょっと言及されたわけでございますけれども、消費税は先ほど言った逆進性の問題がある、所得税についてもどうするか、その辺のところの議論をちゃんと政府としてもしっかり始めたらどうですか。
 もちろん、我々も、民主党の党内で税制調査会をつくってずっと議論をしていますが、やはりそれをやらないと、景気が回復してからやりましょうというんじゃ、議論は今から始めないといけない。議論すること自身が、何か景気の足を引っ張るというようなお話がありましたが、そんなことはありませんよ。むしろ国民は、どうなるかということを国民の方がよく知っていますから、心配になっているんです。不安が増大しているんです。それが全然消費が拡大しない大きいところなんですよ。
 やはり総理、今から議論すべきだと思いますが、いかがですか。
○宮澤国務大臣 それを言ってくださることは、そういうお話がありますことは、私としては、非常にある意味でまじめな御提言だと受け取っております。
 ただ、例えば所得税の課税最低限、いかにも高いと存じますし、私見としてそう申し上げましたが、それを下げるといたしますと、その際の、社会保障はどれだけくれるのかとか、国のその他の問題はどうなっているのかとかいうことがございませんと、国民の受ける側としては、ただ納税者の数がふえるというところだけを受け取られると思いますので、どうしてもやはりほかの問題と関連してでないとその問題が提起しにくいということも御理解いただけると思うんです。
○横路委員 だから、それをみんなトータルにやればいいんですよ。
 私、先ほど四つ必要だと言いました。行政改革と税制改革と公共事業の改革と社会保障の改革、この四つがやはりベースなんですね。そこのところはやはりいろいろ議論をしてちゃんと説明しないと、何の説明もなく、ともかく借金ばかりふえているから、みんな心配になっているわけですよ。消費なんか絶対ふえませんよ、今の状態ですと。
 総理、どうですか。今大蔵大臣が言ったように、税制を含めてやはりどうするかという議論を今やらなかったら、これは、一年先、二年先になればなるほど国民の負担というのはふえていくんですから。そう思いませんか。
○小渕内閣総理大臣 今御指摘をいただきました四つに絞られましたけれども、こうしたことについては、当然のことながら、政府も与党も真剣に勉強させていただいておるということでございます。
 ただ、税についてだけ申し上げれば、国民の持てる資産と国家の財政との関係で、いかに税率を考えていくかということは極めて大きな問題でありますし、そこに入ってまいりますと、今、景気を回復しようということで少なくとも消費を拡大する、そういうためにいろいろな影響も高じてくるということだろうと思います。
 確かに御指摘の、ちょっと数字を最近見ておりますと、二十代、三十代の方々の貯蓄率が高まっているのですね。こういうことも、将来に対する不安もなきにしもあらずということであると思います。
 が、一方また、課税最低限についてはかなり、若い人たちが税負担なしでおられるということでありまして、一方、今度こういう人たちが、電気通信の関係でいえば、通話料その他を多く支払っておる世代に相なっておるということでありまして、もろもろ、いろいろな形で検討させていく必要があることは事実です。
 それは、今消費税のことを申し上げる段階ではありませんけれども、社会保障の増加とともに税率を逐次変えてきたドイツの例などもあるわけです。社会保障制度においていろいろな優遇措置を講じていくということとともに、必ずVATについても税率を引き上げていくという論議をされながら来たドイツの例もあるわけであります。が、しかし、現下日本においては、そうしたことをとり行うことは好ましいことではないということで、研究は十分いたしてまいりますけれども、今の段階でこれを実行するということは、ますますもって景気を引き上げることにマイナス要因になるということはいたすべきではない、こう考えております。
○横路委員 実行する前にまず議論をして、国民的な合意を得なければいけないわけですね。それにも時間がかかりますよ。
 ですから、例えば税制でいいますと、資産課税とか消費課税、所得課税あるのですが、いつもばらばらに議論していますが、やはりこれなどもまとめて、そして、できるだけ公平で透明な、しかも簡潔な税制にはどうしたらいいのかということですね。しかも、納税者番号制あるいは総合課税といったいろいろな課題があります。あるいは、サラリーマンも申告課税、申告して課税するようにすべきではないかというような議論もあります。そういう議論を大いにやって、やはり議論をしていくということが税制度についても必要だと思うのですね。
 総理、今やるかどうかは別にして、議論をしっかりやって準備をするということは、これは否定されないでしょう。
○小渕内閣総理大臣 究極はそれこそ国家財政も黒字になっていくということでなければならないということは、これは目標とすべき大きなテーマである。そのためにいろいろな角度から検討をするということは当然のことでありまして、今横路委員が御指摘をされましたような諸点も今やっておりますけれども、さらに加えて、将来の方向性についても、これが国民に理解を求められるような形でいかなることができるかということについては、さらに積極的に検討いたしていくべき課題だ、こう考えております。
○横路委員 きょうは議論はしませんけれども、本来、もう一つ大事な社会保障改革も、抜本改革、抜本改革と言われながら、政治的な圧力に負けて、そしてまた既得権益を持っている団体等、冒頭の発言じゃありませんけれども、そういう選挙の関係もあるんでしょう、ともかく本来やるべき筋道から全然外れた方向に行ってしまっているわけですね。だから、そういうところをちゃんと、本筋の議論を社会保障制度改革などについてもやらなければいけないというように思います。
 それで、質問、次の点に移りますが、総理は、片時も財政構造改革のことは忘れていないと施政方針演説の中で言われていますが、どうも忘れているんじゃないか。来年度予算を見まして、例えば肥大化した財政支出を徹底的にスリム化するということでいいますと、例えば補助金がどうなったのかというのを来年度予算で見ますと、補助金は地方自治体がほぼ八割でございますが、地方自治体、それから特殊法人、民間団体、それぞれ、地方自治体がプラス二・九、特殊法人がプラス三・二、民間団体がプラス一〇・七ということで、補助金がふえているのですね。
 私は、これからの行財政改革の中で一番大きいのは、やはり補助金の問題だと思います。
 例えば、市町村の仕事の、日常業務の三〇%というのは補助金の申請業務なんです。これをどれほど減らしていくのかということは大変大事な課題なんでありますけれども、どうもそこのところが十分来年度予算を見ても行われていないということです。
 地方分権推進委員会が行いました勧告に基づいて、公共事業について若干の統合補助金化がされましたけれども、それ以外の部分では、この補助金をなくすという点でいいますと、財政のことを片時も忘れてはいないと言う総理の予算編成としてはどうも十分ではないと思いますが、いかがですか。
○小渕内閣総理大臣 横路委員、数字的には確かにそういう数字に相なっております。よってもって、この補助金の内容につきましては、平成十一年度に対し御指摘のように三・三%増となっておりますが、主たる要因が、高齢化の進展等に伴う社会保障関係費の増加のほか、加えて国勢調査実施及び九州・沖縄サミット開催等の平成十二年度の固有の事情等でございまして、そういう意味で、数字的には増加いたしておりますが、必要やむを得ないものとしての補助金の増額になっておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、財政再建を片時も忘れないということは、これはもう言うまでもないことでございますが、年度年度必要とするものについてはこうした数字に相なっておるわけでございます。
○横路委員 個別に、補助金もいろいろな形がありますから、どうしても削れないものももちろんあるわけでございますけれども、政策誘導的な補助金というのはできるだけやはりカットする、それは一般財源化していくということが――行政にとって、この手続に、つまり補助金の申請をする業務にどれほどエネルギーをかけているか。
 ちょっと一つお話ししますと、児童福祉法によって補装具の交付というのがあるのです。例えば車いすだとか松葉づえだとか、これは基準が決められていまして、基準が決められているものは地方でもってできるわけですよ。ところが、基準外のものになりますと、厚生大臣と協議しなければいけないというのですね。
 そうすると、例えば昔あったことは、松葉づえの交付を受けるのに、北海道は冬場は滑るものですからアイスピックを松葉づえの先に打ち込む、つけるというので、それを担当者が基準外と判断したのでしょう。厚生省に上がっていって、下がってくるまでに半年かかってしまって、もう雪が解けていたという話があるのです。
 今、ここに車いすのシーティングバギー、これをつけた、座って体の姿勢を保つようにする車いすなんですね、これが基準外だということで、厚生省に九月に届けられているのですよ。そしておりたのが二月ですよ。五カ月かかっているのですね。ことしは特にこの種のものに八カ月から九カ月かかって、先日、二月の末に一遍にどっとおりたようでございますが、こんなことは都道府県や市町村に任せればいいでしょう。こういう補助金が多いのです。補助金とともにその手続が必要ですから、行政事務に余計なエネルギーを費やしている。
 例えば、来年度予算でも、地方自治体が八割ですから、二十兆ぐらい地方自治体はありますね。二十兆までいきませんか。十六兆八千八百億ですから、十七兆ですよ。これのための手続と、そこに注ぐエネルギーというのは非常にむだなんですね。だから、そこのところを、こんな車いすのものが基準より外れているかどうかというのを厚生大臣に協議して、半年も一年も時間をかけている問題じゃないんですね。
 だから、予算編成のときに何が大事かというと、こういう補助金をチェックして、必要な補助金については、個別補助金化をやめて、できるだけ一般財源化するとか、交付金に変えていくということが必要なんですね、総理。ともかく補助金をできるだけカットするという意味でいいますと、来年度予算は努力不十分というように思いますが、いかがですか、総理。
○小渕内閣総理大臣 平成十二年度の補助金等の総額については、増加したことは先ほども申し上げましたが、社会経済情勢の変化、官と民及び国と地方の役割分担のあり方等も踏まえ、地方分権推進計画、中央省庁等改革基本法等を踏まえ、国が箇所づけをしないことを基本とする統合補助金の創設等、すべての行政分野について見直しを行うなど、補助金等の整理合理化を積極的に推進しておるところでございますが、これはある意味では総論だろうと思うんですね。
 したがって、今委員が御指摘されたのは、一つ一つ精査をしながら、実際は、こうした大きな大筋の方針が決まっておりましても、中央が常にコントロールをしなければならないようなことにおいて、補助金がまたそれなりに、チェックされないということがあってはならぬということだろうと思うんです。
 具体的な案件についてお話がありましたが、お聞きをいたしておれば、ちょっとそのようなことは、率直に申し上げれば、あるいは厚生省はその他の事由があるのかもしれませんけれども、お聞きした範囲では、これは地方にお任せしてきちんと対処したらいい課題ではないかと受けとめさせていただきました。
○横路委員 地方分権の議論のときに、地方六団体が、百八煩悩事例集と言っているんですが、補助金のいろいろなケース、こういうケースは問題だというのを出したんですよ。そうしましたら、省庁の中で、一体こんなケースを言ってきた市はどこの市だといって、調べて後でいじめたなんという話があって、しかし、大蔵大臣、補助金の問題、毎回予算編成のたびにやっているとは思うんですけれども、今財政がこういう厳しいときですから、やはりこの際しっかり徹底してもう一度洗い直しをする。
 方法をどういう方法にするのか。これは単に補助金が減るとか減らないというだけじゃなくて、それに伴って行政の仕事が非常にスリム化するわけです、申請する方も受ける方も。大変大事だと思いますので、ぜひやっていただきたい。
○宮澤国務大臣 総理の言われましたように、いろいろな事情はございましたけれども、とにかく六千五百億円ぐらいふえておるわけですから、どう申し上げても、余り立派な説明はできません。これは確かに、ディレギュレーションにつながりますので抵抗も大きいんですが、しかし、これをやりませんと、本当に行政の、殊に中央と地方の関係はよくなりませんので、できるだけいたします。
○横路委員 あと、ちょっともう一つ、公共事業予備費、これは憲法や財政法上からいっても、九九年度の公共事業予備費の使い方を見ていますと、これは予見しがたい予算の不足に充てるために設けられている制度ですよね。こんなのは、ちゃんと、もし必要ならば、あるいは補正予算を組んでやればいい話ですし、去年のような配分ならば。だって、既に去年の配分というのは、災害に対してというのもありましたけれども、ガット・ウルグアイ・ラウンドの費用だとか空港整備だとかというところに使ったわけでしょう。だから総理、これも、財政規律を片時も忘れない、財政構造改革を片時も忘れないと言っていながら、大いに忘れている一つの例だと思いますよ。
 大体、二〇〇〇年度予算というのは、概算要求よりも予算の方が大きいですからね。ほとんど大蔵省は査定しないで、みんなパスしちゃったんじゃないかと、数字だけ見ていると疑いたくなるような状況ですよね。こんな公共事業予備費五千億なんて、何ですか、これは。また分捕り合戦になりますよ、族議員と省庁の。それが政治を堕落させているのですよ。必要ならば、ちゃんと必要なときに必要な措置をとればいいわけです。どうですか。
○宮澤国務大臣 一般の予備費に入れましたらもう少し横着な方法でございますけれども、特に公共事業と私どもが自身を縛りまして国会の御審議をお願いいたしたわけです。
 これを予備費にしましたのは、景気の動向によってこれを使うか使わないかという部分が予見しがたい部分であったわけでございますが、使わなければならないとなりましたので発動いたしました。中身は確かに、横路委員の言われますように、かなりわかった公共事業が多うございましたが、そういうものを発動するかしないかというところが予見しがたかったということでございます。
 これは、十二年度では、したがって、こういうものを発動しなくて済む状況が出てくるかもしれません。私ども、それを大変期待しておりますけれども、いわゆる乱に流れるような補正の原資にするというようなことは、極力考えていかなければならない問題だと思っております。
○横路委員 そうすると、二〇〇〇年度予算では、九九年のような、ああいうやり方はしないということですね。
○宮澤国務大臣 昨年これを施行しましたのは十月であったかと思いますが、今年度の場合、そのころまでにはもう景気の動向は、私どもはかなり好転したい、してほしいと考えておりますので、去年のようにこれはどうも使わざるを得ないだろうというような予感は、今のところ、大変深く持っておるわけではございません。
○横路委員 もう分捕り合戦というか、どこにどうなんというのは決まっているわけじゃないんでしょうね。
○宮澤国務大臣 何か期待を持っていらっしゃる方はおられるかもしれませんが、そうでないことを私どもは考えております。
○横路委員 総理、この予備費というのは、ちゃんと憲法で決められているわけです。緊急の場合に使えるようにしましょうということなんですね。景気対策で必要なら、それはそれで、ちゃんと補正を組めばいいわけで、こんなわけのわからぬ、国会のチェックのない、できない、これは事後で報告するだけで済むようになっているわけですから、いいかげんな運用はだめですよ、総理。ちょっと総理からお答えをいただきたい。
○小渕内閣総理大臣 十分御指摘を注意しながら、この公共予備費につきましては、政府としては対処していきたいというふうに考えております。
○横路委員 次の問題に移ります。
 一つは、三つの過剰解消ということが言われて、よく雇用だとか設備だとか債務だとか言われたわけです。昨年の経済白書でも、二百二十万人の過剰雇用があるというような話が出され、総理も昨年、シカゴの演説で、失業率四・八%になったことに触れて、これは避けて通ることのできない、構造改革の努力の結果として直視しなければいけない、失業の増大というのは避けて通ることのできない不可避であるということを言われたわけですね。経済白書のこの過剰雇用という言葉の使い方といい、総理の演説といい、一気にやはりリストラが加速をしたわけです。
 総理、今日の解雇を含むリストラの状況というものをどうお考えになっていますか。
○堺屋国務大臣 産業が入れかわる場合、やはり縮小する産業と成長する産業がございますので、経済構造の改革の上で、ある程度の労働力の流動化はやむを得ないものと考えております。
 実を申しますと、九〇年代に入りましてから、規格大量生産の分野では、わかっているだけでも数十万人の従業員の減少がございました。そういうものがいろいろなところで吸収されておりまして、これからもそういうことはかなりあるんではないか。そのことによって、より適切な労働力の配置が行われ、経済が再生する面もあろうかと思っております。
 全体としての失業率を高くしない、これは政府として大きな仕事でございますが、中身の入れかわりというのはやはり避けられない部分があろうかと思っております。
○横路委員 ちゃんとした受け皿なしに、雇用が過剰だ過剰だ、失業もやむを得ないということになると、企業の方はそういう努力をするわけですね、総理。
 そして、どのぐらいの数字になるかといいますと、ある研究機関の調査ですと、九八年から九九年にかけて大体五兆円、人件費コストを下げたと言われているんですね。そのために何をやったかというと、新規採用の抑制でしょう、正社員を減らしてパートをふやしたわけでしょう。さらに、ベースアップを凍結して、ボーナスを削減するということがずっと続いているわけですよ。だから景気がよくならない。個人消費がだめですよ。
 総理、十―十二の数字は大体マイナスだ、これは三月になったら発表になるでしょうが、そのマイナスの大きい要素は何かというと、やはり消費が伸びないことでしょう、所得がふえないんですから、雇用が不安なんですから。違いますか。
○堺屋国務大臣 仰せのとおり、十―十二月の消費は余り好調ではございませんでした。特に十二月は前月比で三・九%のマイナスでございました。
 これは、主としてボーナスの支給が低かったことが原因でございます。このボーナスというのは、前年の三月期の決算で、春闘、それから六月期までに決まるものでございますから、それを前提として年末調整を行いますから支給額が低かった、それを反映しているのが第一だと思います。そのほかに、コンピューターの二〇〇〇年問題の不安等もあるわけでございますが。
 一月になりましてから、きょう発表になりましたけれども、家計調査の勤労者分で見ますと、前月比二・三%の伸びになっております。このあたりはやはり前のときの企業の業績の悪さというのを反映しておりまして、ややそういう意味では底打ちの感が、十二月が一番底だったんじゃないかというような感じも出てきているのではあるまいかと考えております。
○横路委員 総理、投書をちょっと読ませてもらいたいと思います。去年の暮れに出た投書なんですが、横浜の主婦の人の投書です。
  「奥さん、おむすび一つすみませんが恵んでくれませんか」。朝、外を掃いている私の背中に、五十歳ぐらいの男の人が声を掛けてきました。
  その朝はあいにく、一ぜんほどのご飯しかなく、おむすび一つと、ミカン、バナナを袋に詰め、小銭を入れてさしあげました。
  男性は、リストラで職を失い、郷里にも帰れずにいるとのこと。商店街の裏通りにある我が家に来た今年三人目の方です。私はラジオが好きで、聞きながら家事をしています。時折入る交通情報には「人身事故」という名で片付ける自殺の何と多いことでしょう。
  そして、それがほとんど働き盛りの男性ばかり。
こういう現実を政治家の皆さんはどのように見ているのでしょうかという投書が去年の暮れに出ていました。
 総理、どう思いますか。
○小渕内閣総理大臣 大変悲惨といいますか、そういう方々が増加しておるということ、すなわち雇用が、こうした方々がお仕事を持つことができないという状況を、一人の方の投書によって理解するわけでございまして、さすればこそ、やはり日本の経済全体をどうしても好況に持っていく努力をしていくのが、政府としての務めであると思います。
 具体的事例についてどのように対処するかということにつきましては、それは生活保護の問題等々も含めまして、あらゆる世話活動を通じながら対処しなければならないかと思いますけれども、全体的には、やはり日本経済が活性化し、雇用が増大し、そして働きたいという方々にこたえていくということが極めて重要であり、そのための施策を一つ一つ着実に遂行しておるというのが、私ども政府の今の務めだと考えております。
○横路委員 「一兎をも得ていないオブチノミックス」という資料をちょっと渡してありますが、これを見ていますと、景気がよくならないばかりではなくて、完全失業者もふえ、生活保護もふえています。お金で一兆五千億を上回るんじゃないでしょうかね、九九年の生活保護費。それから、ホームレスの方が二万人を超えています。この寒い中で、もう全国、沖縄から北海道の札幌にまでホームレスの方がおられるという状況です。自己破産、自殺。自殺も史上最高でございまして、特に四十代、五十代が大幅にふえているのですね。自営業者の方、あるいは雇用されている方。ホームレスの人も四十代、五十代が多い。これも、過去の日本の歴史の中で、こんなにホームレスがおられる社会状況になったというのは初めてなんですね。毎年四、五千人ずつふえていっています。
 問題は、今世論調査をして一番不安を持っている世代というのは、やはり四十代から五十代の一番働き盛りのところなんですね。私はこれからちょっとパート労働と派遣労働について御質問をしていきたいというように思っているのですけれども、結局、今日の事態はどういうことかというと、産業界のリストラが進んで、失業者がふえているわけですね。それから、企業のいろいろな負担を軽減するということで、税を含めてやってきました。その結果、やはり税制にゆがみが生じたりしてきているわけですね。結局、産業の足腰を強くするというための政策が社会の安定を危うくしているということが今日の日本の大きな状況、情勢であるというように言わなければいけないと思うんです。
 そのことをちょっと頭の中に入れていただいてお話をしたいと思うんですが、やはり雇用の安定というのは非常に大事です。これは雇用サミットの、どこでしたか、ロンドンかどこかのサミットの中で、長期的、継続的、安定的な雇用こそが社会安定の基本であり、経済発展のかなめであるという声明を出したことがありますが、雇用について、総理はどうお考えですか。
○小渕内閣総理大臣 言うまでもありませんが、失業率というものを引き下げて、そして雇用の安定化のための諸施策を講じていくということは当然のことだろうというふうに思っております。そういう意味で、雇用といいますか労働政策として、昨年の秋にはわざわざ国会を開かせていただきまして、所要の方策を講じさせていただいておるということでございます。でありますが、一遍に四・〇とかそういう数字になってこないということは大変申しわけないことだろうと思います。
 したがいまして、重ねて申し上げれば、経済をより活性化することによりまして、各企業体もかなり企業体としての健全化のために努力をする。しかし、かつてのようにリストラすればその企業はよくなるというようなことでなくして、雇用につきましても最大の配慮を考えつついたそうという、企業家のマインドもそういうことになってきつつあることは事実でありまして、そうした中で雇用を安定せしめていくという努力をしていかなきゃならない、このように考えております。
○横路委員 雇用の流動化が言われて、もう既に日本社会は相当雇用は流動化しています。パート労働はアメリカよりも多いんですね。雇用者に占める割合がもう二一%を超えていまして、ますますふえています。派遣労働も、多分ことし百万人を超えるでしょう。去年の十二月に施行されましたから、どんどんふえていっております。
 しかし、このパートと派遣労働に伴う問題があるんですね。それは、やはり労働条件の格差が非常に大きいということなんですね。
 そこでちょっと、まずホームヘルパーの問題を質問したいと思うんですが、「実態調査」という表がありますので、それを見ていただきたいと思います。
 四月から公的介護保険制度が始まるわけで、この制度の一つの柱というのは在宅介護なわけですね。そういう意味でいいますと、ホームヘルパーの人々の果たす役割というのは大変大きいわけでございます。しかし、この労働条件というのもなかなか厳しい状況にありまして、ひどい条件もたくさんあるんですね。
 先日、宮城県の、しかもこれは市町村が出資している介護サービス会社、宮城登米広域介護サービスというところで、介護ヘルパーに手当を払わないで長時間労働を強いていたということで、労働基準監督署から改善命令が出されました。その中身についてちょっと労働大臣から簡単に報告してください。
○牧野国務大臣 先生御指摘の宮城登米広域介護サービスに関しまして、明らかに労働基準法令に違反いたしておりまして、一つは、時間外労働に対する割り増し賃金を未払いでございました。これは三十七条違反であります。もう一つは、時間外・休日労働に関する労使協定を締結することなく時間外労働及び休日労働を行わせていたこと、これは基準法三十二条及び三十五条違反でございまして、これにつきまして監督署から指示を与え、既に解決されております。
 以上です。
○横路委員 これからの雇用分野というのはどういう分野かというとき、必ず議論されるのは福祉分野だということで、今ホームヘルパーの人の数も急速にふえていっています。
 それで、ちょっと実態調査をやった数字がないんですが、これは私のところの札幌で行ったホームヘルパーの実態調査、ちょっと総理、お目通し、見ながら話を聞いていただきたいんですけれども。
 これを見ますと、最初の資料七のところを見ていただきますと、「雇用形態」というのが真ん中の上から三番目にありますが、これで見ますと、常勤が九%で、非常勤・パートが七五%ですね。その下に「月平均の派遣日数」というのがありまして、派遣日数は、結構十六日から二十五日ぐらいのところに集中しています。一日平均の時間が、二、三時間から三、四時間ということになっていますね。これは右の方です。それから、右の十五、「月平均の収入」というところを見ますと、一番多いのは六万から八万、その次が四万から六万、その次が八万から十万ということになっております。
 次の表をめくっていただきたいのですけれども、賃金の形態は時間給になっております。左の下の十八というところですね。それから、真ん中を見ますと、家事型・介護型、「分かれている」というところが多いわけです。そして、真ん中の一番下のところの質問十九の三というところに、「分かれている場合の一時間単価(家事型)」が八百円から千円、そして右側の一番下のところ、「介護型」が、千二百円から千四百円というところが一番多いわけです。そして、保険などには入っていないという人が、大体七割から八割という数字になっています。
 どんな労働かといいますと、その資料の二枚目の方の下のところに、「ホームヘルパー派遣週間スケジュール表」というのが出ていますが、ちょっとそれを見ていただきたいのですが、朝の八時から、遅いと夜の八時までですね。ですからこの人、拘束されている時間というのは十二時間以上ということになります。時間給ですから、その間の通勤の移動時間というのはお金はもちろん払われないわけですね。しかし、これはどうしたって拘束されているわけです、ある意味では。
 それから、利用者の方が急に休んだとか病院に入院したとかいっても、これも保障はないというのが大部分でございまして、この左の下の人は、三十五時間働いて、時間給が千三百円、家事型、介護型平均しますと千三百円ぐらい、三十五時間働いて大体四万二、三千円ぐらいのお金になっています。こういうのが実態なんですね。
 私は、ホームヘルパーの人たちの声をちょっと紹介してみたいと思いますが、家事型だから安くていいという考えはまず誤りだと。家事をしながら介護が入ってくるんだというのが、大体ホームヘルパーさんの大きな声ですよということですね。
 それから、とてもやりがいのある仕事ですが、しかし労働条件がもっと何とか改善できないだろうかという声、そういう声が非常に大きいです。自立をして頑張っていきたいんだけれども、例えば雇用保険、厚生年金などの保険もつけてほしいなと思いますという声がございます。
 それでも、多くのヘルパーの人が、利用者の方の笑顔が見たくて頑張っていますと。しかし、雇用形態が不安定で待遇改善がないということ、そういう点についてもっと考えてほしいという声が圧倒的なんですね。
 そこで、今度、介護保険の報酬が決まりました。報酬が決まったことに基づいて、今いろいろな企業が、どういう条件かという説明をずっとしてきています。私は、一つまず、そのチェックをちゃんとしていただきたいということを、これは厚生省にお願いしたいと思うのです。
 私が知っている、千人ぐらいホームヘルパーを採用しているところで、問題がやはりあるのですね。例えば、そこでは基本給千円、家事型、介護型なしに千円と決めています。同時に、日曜日は千円に対して割り増しが百円だというのですね。早朝、夜間は四百円。だから、これはまあまあ労働基準法、いいのですが、百円とか、祝日は八十円なんという条件になっています。そうすると、介護報酬で渡している金額と働く人が受け取る金額に差がある上に、労働基準法にもどうも触れそうな内容が提示されているという実態なんですね。
 そこで、ぜひ、まず一つ厚生省の方に、その実態についてやはりできるだけチェックをしっかりするということをやっていただきたいということをお願いしたいと思うのです。
○丹羽国務大臣 ホームヘルパーに対してきちんとした給与が支払われているかどうかという御指摘でございますが、まず基本的には、これはあくまでも労使間の問題であるという認識に立つものでございますけれども、私どもが去る二月の十日に告示をいたしました介護報酬の中では、訪問介護の問題でございますが、あくまでも実態を踏まえまして、身体介護は四千二十円であるとか、あるいは家事援助は千五百三十円であるとか、複合単価は二千七百八十円である。大変適正な水準である、私はこう考えておるような次第であります。
 問題は、介護保険は、利用者がサービス事業者を選択する制度でございますので、私は、利用者の選択によって質のよいサービスが提供されるようになると考えておりますけれども、これに加えまして、委員御案内のように、国保連におきましては、苦情処理であるとか、それから第三者的な立場から事業者との間に相談に立つ、こういうようなことも考えておるわけでございます。
 委員の御指摘は、主にホームヘルパー、従業員の方でございますけれども、これにつきましては、この派遣元でございます事業者は、一定の条件のもとにあれば、当然のことながら社会保険に適用の届け出をする義務があるわけでございますけれども、実態問題としてなかなか、適用漏れというものもあることも事実だと思います。
 当然のことながら、私どもは働く勤労者の立場に立ちまして、健康保険であるとか厚生年金などの届け出漏れがないように今後よく指導していきたい、このように考えているような次第でございます。
○横路委員 これは労働省の方にも、労働省の方で今度この予算の中に、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律の改正案を国会に今出していますね。そして予算措置もあるわけですね。そのときに、やはり労働条件についてちゃんと守られているのかどうかということを含めてチェックをしていただきたいと思いますが、労働大臣からどうぞ。
○牧野国務大臣 先生御指摘のとおり、このたび改正法案を提出いたしまして、新たな介護事業がどんどん発足するわけですから、これの規制と、あわせて助成の方法を考えております。特に、事業者でまだ十二分に労働基準法等々を知らない方が多いように散見されますので、こういう方にいろいろな機会を通じて、労働基準法、特に勤務時間あるいは日曜、休日の活動等について注意を喚起し、きちっと労働条件を確保するようにいたしたい、こう考えております。
 そして、これらが実現できない場合は、先ほど先生おっしゃったように、宮城県のあれと同じように、改定計画等を勧告する。そして、やらなければ、きちっと、あなたはきちっとやっておりませんよというような公表までも考えまして、守られるようにベストを尽くしたい、こう考えています。
○横路委員 それで問題は、総理、パート労働のあり方にあるんです。時間もだんだんなくなってきましたから簡潔にお話ししますと、今、大体千百万人を超えているわけですね、パート労働の方が。だんだんこれからふえていく。時間当たりの賃金の格差というのは、大体百対七十ぐらいなんですね。つまり七〇%ぐらいなんです、時間当たりの給与が。このごろは特に、パートもそうなんですけれども、一日四時間、週二十時間に働く時間を限定するという企業が非常にふえています。それは何かというと、二十時間以内ですと雇用保険を掛けなくて済むからなんですね。そういう使い方になっていっています。つまり、今のリストラが進行していく中で雇用は流動化していって、その受け皿である方のパート労働の余りにも大きな格差、これをやはり直していかないといけないわけですね。
 よく、ヨーロッパの中で、景気回復や雇用安定の一つのケースとしてオランダモデルということが言われます。オランダという国は、パート労働とフルタイムの労働との間に、時間による差はあるけれども、あとはみんな同じ条件にする、賃金にしても雇用保険や社会保険の適用にしても。そのことを、政府を含めて、経営者と労働組合と政府の三者で確認をして、したがって、労働組合も労働協約の中にそれを全部入れちゃうわけですね。パート労働に何も差をつけないでこうしますよと。そしてまた、それを法律でもきちっと決めるということをやっているわけなんです。
 日本の場合も、パート労働といってもいろいろあるわけなんですけれども、こういう調査もあります。今政府の方で、パート労働について、やはり同一価値労働、同じ労働をしているのは同じ賃金を払おう、雇用形態で違うのはおかしいじゃないか。今、常勤労働とパート労働で、同じ仕事をして給料が違うわけですね。そういうところがやはり雇用を不安定にしている非常に大きな要素なんですが、こういう調査があります。
 パート労働者の中で正社員と職務内容がほとんど同じという人が五八・六%、管理業務や専門業務に従事しているパート労働者というのは二六%、正社員と同じ勤務時間で、残業や事業所内の配置転換もあるというのは二〇%、そして、勤務期間がもう十年以上という人が四九・五%。こういう調査が、今パート労働をどうするかという議論をしている中の調査報告として上がってきているんですね。
 ですから、議論はありませんので、ひとつ方向性として、一つのオランダモデルと言われているように、フルとパートは、時間の差によるもちろん給料の差はあっていいのですが、それ以外は保険の面でもなくしますよと。よく堺屋さんが、自己実現するために雇用の流動化はいいのだと言いますけれども、しかし、今のように、雇用保険にも入れなければ、給料は七割で、自己実現も何もないですね、そんなことは。だから、そこがしっかりしていれば、週のうち二日はこっちで働いて、こっちで働こうというようなことができるんですが、それがない。
 派遣労働はきょうは時間がないので触れませんが、総理、今一番大きな問題は何かといったら、やはり雇用が不安定、そして所得が伸びない。そうですよね、正社員からリストラされて、みんなパートをどんどんどんどんふやしているわけですから。そして、したがって消費が伸びないという構造になっているんですね。
 ですから、今、景気回復の対策としてやるべきことの非常に大きな点は何かというと、このパートと派遣労働について、よく言われるセーフティーネット、労働のセーフティーネットをできるだけしっかりつくるということですね。これができますと、少なくともその方向性を明確に示すだけで大分、私はその辺のところというのは解決の方向が見えてくるのだと思うんですよ。
 これはいろいろあるんですよ。パート労働法とかいろいろな法律はありますが、みんな何か努力規定になっていまして、実効性が全くないのです。実効性がないので、今議論をして、まさに同一価値労働、同一賃金という方向に向かってどうするかという議論を、いろいろと詰めているところなんですよ。
 私は総理に、こういう今の状況の中で、このパート労働、派遣労働ということについて、もっとしっかりセーフティーネットが完成できるように、今言った労働条件、賃金などの面、それから雇用保険や社会保険などの適用の面について、オランダ的な方向性を目指して努力をぜひやっていただきたいと思いますが、総理、いかがですか。
○小渕内閣総理大臣 パートタイム労働を魅力ある良好な就業形態として確立することは重要な課題であると認識しております。
 パートタイム労働法に基づき、適正な労働条件の確保及び雇用管理の改善に向けた事業主に対する指導、支援を引き続き推進してまいりたいと思います。また、派遣労働者についても、派遣元事業主による教育訓練の実施を指導することを通じ、派遣労働者の労働条件の改善に努めてまいりたいと思います。
 景気の悪いときには、その昔でいえば救農土木というような形、あるいはまた、田舎に戻って生活をしていくというようなことでありましたが、現在ではそのようなことはありません。そういうことでパートに出る方々が非常に多いのじゃないかと思います。この経済の動向の中で、こうした方々の生活をより安定させていかなきゃならないというのは、先ほどオランダの例でお示しされましたが、それは趨勢だろうというふうに思っております。
 もともといえば民間企業の問題ではありますが、社会全体のセーフティーネットとして、こうした方々にどう対応するかということは極めて重要なことだと思っております。これは、労働大臣あるいはまた通産大臣、その他関係の省があるわけでありますが、今御指摘のような点も含めまして、少し勉強させていただきたいと思っております。
○横路委員 いや総理、もう勉強はされているのです、今。もう既にされて、三月中に一応の方向性を出すというところまで来ている最後の段階ですから、ぜひその点について、そこがやはり今のままですと、雇用は流動化しても、結局雇用が不安定化するだけの話になりますので、流動化しているというのは現実ですから、現実に対応してどうするかということで、今の点をぜひお考えいただきたい、このように思います。
 時間がなくなったのですが、総理、もう一つ、ちょっと新聞の投書を読みまして、お答えいただきたいと思うのですが、これは障害者の方です。施設嘱託ということで、女性なんですが、
  歯科助手、医療事務、図書館司書、簿記三級、家庭奉仕員、社会福祉主事、いけばな教授者、介護支援専門員。これは、私が今までに取得、または合格した資格です。
  言語障害がある私は「いつかきっと、健常者と対等に働きたい」という希望を抱き、努力して来ました。今年、ケアマネジャーの実務研修受講試験に合格した時に「やっと健常者と同じスタートラインに立てる」と思っていました。
  相手の立場で物事を考え、その人に適したケアプランを立てられるケアマネジャーになろう、と夢はふくらみましたが、世間は障害者の私をケアマネジャーとして認めてはくれません。
  人との出会い、助け合いを売り物にしている生協ですら「あなたにケアマネジャーとして、どんな仕事をしてもらったらいいのか分からないので、採用の可否は保留させていただきます」という面接の回答が送られてきました。これは私にとって不合格以上のショックでした。
  どうしたら障害者の能力を社会に認めてもらうことができるのでしょうか。どなたか私に、納得できる答えを下さい。
という投書が、これは去年、朝日新聞に出ていました。あるいは総理もごらんになったかもしれませんけれども、どのようにお考えになりますか。
○島村委員長 丹羽厚生大臣。
○横路委員 いやいや、ちょっと委員長、感想をまず聞いてから……
○島村委員長 一応まず担当大臣から答弁の後、感想を求めます。
○横路委員 いやいや、後からちゃんと議論しますから。委員長、ちゃんと議論しますから、障害者雇用について。
○島村委員長 委員長は必ず答弁を求めますから。
○丹羽国務大臣 それじゃ、経緯だけ簡単に申し上げさせていただきます。
 私どもは、この障害者の問題につきましては、お互いに助け合い補い合う、こういうようなことで、いわゆる地域社会において、ともに健常者の方々も障害の方々も生活をしていかなければならないというノーマライゼーションの精神に立ちまして、今委員が御指摘の、身体であるとかまたは精神の障害を理由として免許であるとかあるいは許可が与えられない、いわゆる欠格条項の問題と思いますけれども、これに対しましては、障害者の社会参加を一層進めていくことが重要な課題だ、こういう認識に立ちまして、厚生省といたしましては、先日、医師などの資格について医療関係審議会で審議を開始したところでございます。
 欠格条項の見直しを申し合わせました障害者対策推進本部の決定の趣旨を踏まえて、障害者団体を含む関係団体の御意見を聞きながら、障害者の皆さん方の能力を十分に発揮できますように、今、見直し作業をちょうど行っている最中でございますけれども、年内には結論を出し、そして、次の通常国会にはこの法案につきまして提出したい、このように考えているような次第でございます。
○小渕内閣総理大臣 重障者が社会の中に大いにその働く場所を得なければならぬということについて、これを助長せしめていくということについては、まことに喫緊の課題だろうと今厚生大臣も御答弁を申し上げました。
 卑近な例ですが、実は私の事務所にそういった方々で御陳情がありまして、どこかということになりまして、千葉県下の市役所でこれを採用していただける方向に進んでいるというようなことでございます。ぜひ公的機関等におきましては、できる限りそうした方々を御採用いただくことによりまして、心身に大変ハンディを持っておられる方々を、やはり社会全体でもこれを支えるということが必要だろうと思います。同時にまた、法的な面でも、今厚生大臣お話しのような形でこれを推進できるような体制と、両々相まっていたしていかなきゃならない、こう考えておる次第でございます。
○横路委員 最近よく自助努力とか、結果の平等じゃなくて機会の平等という議論がありますけれども、この人はやはり努力しているわけですよ。この人、自助努力していないとは言えないでしょう。物すごい努力をしている。しかし、なかなか就職ができないわけですね。
 そこで、政府の方もいわゆる法定雇用率というのをつくって、企業に、特に大きい企業にちゃんと採用しなきゃだめですよということを決めています。それが景気が悪くなりますと、やはり解雇者がふえてきているんですね、障害者の解雇者が。
 その中で、一つだけ質問いたします。いわゆる金融機関、これが一番悪いんですね、法定雇用率。その金融機関の中で、公的資金を入れた金融機関というのは今まで六十三あります。そのうち四十六の企業が未達成なんですね。四十六、だから七割ぐらいの企業が未達成なわけですよ。これだけ税金を入れてもらった企業が――ちゃんと社会の一つのルールというもので、しかもちょっと問題があるのは、法定雇用率を達成しなかったら、一人幾らとお金を払えばいいような仕組みがあるんですね。だから、みんなお金を払っちゃうわけですよ。
 問題は、金を払うところにあるんじゃなくて、採用するというところにありますので、これは総理、税金をあれだけ投入した金融機関で、実に七割もの金融機関が法定雇用率を達成していないというのは、やはり改善してもらわなきゃいけない。これはやはりちょっと指導してもよろしいんじゃないかと思いますが、総理、いかがですか。
○小渕内閣総理大臣 金融機関はプライベートカンパニーではあるかもしれませんけれども、大いに社会的、公的な責任を負っておる企業体だろうというふうに私は認識をいたしております。今のような数字であるということは甚だ残念であると思いますので、改善していただく努力をしていかなければならないのではないかと思っております。
○横路委員 いや、ですから、それでちゃんと指導をしてください、労働省を通じて。
○牧野国務大臣 先生御承知と存じますが、障害者雇用促進法に基づきまして、法定雇用率未達成企業に対し雇い入れ計画作成の命令をします。そして勧告をいたします。この法律に定める手順を経てなお改善の見られない場合には、社会的制裁として企業名を公表する、こういうことに決まっておりまして、私どもとしては、公的資金を投入している金融機関に対しても当然でありますが、これら所定の手順に従い厳正な指導に取り組んでまいりたい、こう考えております。
○横路委員 答弁は要りませんが、ついでに、平成三年に公表するということを含めた指導をやって以来、ちょっと今までしばらく時間があいていますので、この際しっかりやっていただきたいというように思います。
 最後に、もう時間がなくなりましたが、ちょっと景気回復について、特にこれからの個人消費ですね。
 経済企画庁の、去年の十二月に出た日本経済の現況という、なかなかおもしろいレポートでございました。この中で言っていることは、設備投資は余り期待ができないから、これから日本経済はやはり個人消費だということが結論的に述べられております。そして、その個人消費を拡大していく上でもやはり雇用の改善がどうしても必要なんだということが強調されておりまして、この中で、リストラ解雇型ではなくて、雇用活用型でいくように環境整備しなければいけないということが述べられています。私は極めて正しい指摘だと思っています。
 今までは、企業経営者は、ともかく売り上げが伸びませんので、利益を上げるためにということで、リストラでもって解雇をばんばんやってきた結果が、社会的にいろいろな問題を引き起こしているわけですね。したがって、この雇用活用型でいく環境整備をするという点は、私は大変大事なことだと考えておりますが、ではこれを具体的にどうしていったらいいのかということになります。これは経済企画庁長官、いかがですか。
○堺屋国務大臣 できるだけ企業の中で雇用者、従業員の能力再開発を進めていくということは大事だと思います。現在、いろいろと新しい技術、新しい方式が入ってまいりまして、それに対応できるように能力再開発をしていかなければならない。もっとも、すべての企業、すべての人がそうできるわけではございませんから、部分的には流動化するところもございますでしょうけれども、そういう能力を再開発して、新しい事業、新しい事態に合うような、そういった人材をつくるということがやはり基本になるんじゃないかと思います。
○横路委員 先日の公聴会の公述人の公述の中に、スウェーデンが二兎を追って二兎を実現した国なんですね。そこで何をやったかというと、労働生産性を上げるために教育投資を物すごくやった。社会人も大学で受け入れる、中小企業を入れて一番新しい技術をそこで技術移転をするということに非常に中心的にお金を投資して、あそこの国は二兎を追って二兎を得たというお話を聞きましたけれども、まさに今必要なのはそこなんですね。そこのところにこれからやはり重点を置いていかなければいけない、このように私も思っております。
 いろいろな調査、家計調査だとか生活意識調査でありますとか国民生活選好度調査とか、これを見ていますと、今何に国民が不安を持っているかというと、もうまさに雇用と処遇の不安の方が、老後の不安よりもそっちが今わあっと表に出てきていて、したがってお金を控えるということになっていっています。
 それから、この分析の中で非常におもしろいと思ったのは、やはり住宅ローンの負担がふえてきている、特に三十代でふえてきている。政府が景気対策をやって、住宅をいろいろな意味で、減税そのほかの措置をとって、住宅はわっとふえたけれども、それが個人にとってみると家計の負担になっている、そして消費が伸びない、こういう構造になっているんですね。やはり問題は雇用のところである、総理、雇用のところ。
 したがって、先ほど言いましたパート、派遣労働のところから、あるいは教育強化といった点、それから、できるだけやはりリストラ解雇型でなくて雇用活用型でやっていくんだと。
 これは、日本の場合は、雇用活用型でやると市場が株価を下げるとか、リストラ型でやると上げるという、市場も変な動きをしているわけでございますが、総理、ぜひ、総理がシカゴ演説でやむを得ないと言ったところからリストラがわあっといった。この際、この企画庁の答申にありますように、やはりリストラ型ではなくて雇用活用型でいくべきだということをちょっとはっきり言っていただければと思いますが、いかがですか。
○小渕内閣総理大臣 雇用を拡大するために企業も含めまして健全化していかなければならないわけでございまして、結論を言えば、それは雇用を皆、企業体がしっかり受けとめていくということと同時に、単にリストラをすればというようなことは一時の風潮としてあったかもしれませんけれども、企業のクレジビリティーからいって、きちんとした雇用を確保して、そして経営を安定させていくということが現下日本の企業体の進むべき道であるということに大体、私は、コンセンサスが得られてきつつあるのではないか、こう考えております。
○横路委員 時間になりましたが、最後に、資料の六というのをちょっと見ていただきたいのですが、高齢者世帯の所得分布、それから貯蓄額ですね、高齢者世帯と雇用者世帯。私は、やはりこの間ずっと日本の国内で二極化が進んできているんじゃないか、所得や資産の面でですね。
 この高齢者世帯の所得分布というのを見てみますと、確かに、例えば所得が一千万以上という方も三・四%おられます。貯蓄の方を見ますと、三千万以上の貯蓄を持っているという高齢者世帯が七・九%おられます。しかし同時に、所得でいいますと、二百万未満という方でこれはもうほぼ半分なんですね、高齢者世帯。それから貯蓄の方でも、ないという方が一五%おられますが、二百万未満でこれを全部足して、やはり四割を超えているのですね。
 だから、四〇%から五〇%が、高齢者世帯でも雇用者世帯でもなかなか厳しい、かつかつの生活をされている方がいる、それから一〇%ぐらい非常に貯蓄も所得も持っている方がいるということなので、よく高齢者世帯と一口に言って平均値の議論をしていますけれども、こうやって実際の数字を見てみますと、やはり、どこにちゃんと政治が光を当てなければいけないのか、やみくもにお金を使ってもよくならないというのが、これを見るとよくわかるんですよ。
 これは総理、どのように思いますか。こういう状態に今日本の国はなっていますが。
○島村委員長 小渕総理大臣。時間が経過していますので、簡潔にお願いいたします。
○小渕内閣総理大臣 せっかくの資料でございますので参考にさせていただき、ひとしく、年齢にかかわらず、それぞれが安定していけるような施策は那辺にあるかということについて検討させていただきたいと思います。
○島村委員長 これにて横路君の質疑は終了いたしました。

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